今回は時事ネタ。つい先日、岡山県内で食中毒が数件発生しました。
仕出し料理のお店、焼き鳥屋さん、回転ずしのお店で発生しました。
宮崎県では総体中の高校生が食中毒になったというニュースも。
部活真っ最中の高校生が食中毒で部活に打ち込めなくなるのは大変ですよね。
ちょっとショックでした。
夏の暑さが少しずつおさまってきてますが、まだまだ気温の高い日が続いています。
飲食店や食品業者だけでなく、家庭でも注意しておく必要があります。
僕は、昨年、加工食品のプロであり添加物の神様と異名をとる安部司さんに師事して食品加工についても学びました。
また看護師として、最先端医療現場で5年、国際医療の現場で2年活動した経験があります。
なので、食中毒対策と食中毒の症状、「嘔吐」や「下痢」になったときの対処方法もまとめておきたいと思います。
食中毒になると、少なくとも2,3日は寝込むことになりますし、命にかかわる場合もあります。
看護師時代には、o-157で入院した患者さんが、腎機能が悪化して、腹膜透析までになったケースもみました。
その方は、命を取り留めて、無事に退院されていたので何よりでした。
が、夏も後半になると夏の疲れが出やすい時期ですし、体の免疫も下がっている可能性もあるんで、注意しておきましょう。
食中毒についてもよく知って、体調を崩さず、元氣に過ごしていきましょう。
目次
食中毒対策の3原則、増やさない、汚さない、殺す
食中毒対策の3原則はこちら。
- 増やさない
- 汚さない
- 殺す
になります。
食べ物は、加工・調理を始めた瞬間から、食中毒の原因となる菌やウイルスは増えていきます。
そのため、菌やウイルスを増やさない、殺すのが基本的な対策になります。
菌を増やさないためにも、「汚さない」ことが重要になりますよね。
加工食品業者では、衛生管理をするとき、「食品は作り始めてから腐り始めます」、「食品は作り始めてから汚れ始めます」と習うそうです。
常に、菌やウイルスの発生、腐敗を意識して、その対策を徹底しましょうと習うわけですね。
加工や調理の工程を知って菌やウイルスの繁殖を防ごう
食材を調理するとき、新鮮な食材をそのまま調理する場合もあれば、冷凍保存されているものを扱う場合もあります。
冷凍保存されているものは、解凍する工程も挟むので、そこでも菌が繁殖するタイミングになるので要注意ですね。
こちらでは、飲食店や食品加工業者の流れを踏まえていきます。
食品加工の製造過程
⇒ 2.解凍
⇒ 3.調理
⇒ 4.加熱
⇒ 5.冷却
⇒ 6.保管
⇒ 7.出荷
お家で作られる場合は、「5.加熱」のあとに食べるわけですが、残ったものはまた冷却して保管しますよね。
そして、再加熱して盛り付け、また食べるという流れになります。
菌が付着、増殖する原因
調理から食べる人のところに食品が届くまでの工程で、菌が付着・増殖するタイミングがこちらです。
- 2.解凍・・・時間をかけて解凍すると菌が繁殖しやすい
- 3.調理・・・調理工程で手、あるいは器具より菌が付着する
- 4.加熱・・・加熱が不十分で菌が死滅していない
- 5.冷却・・・冷却がかんまんあるいは放置のため菌が付着し増殖
- 6.保管・・・無菌状態に調理された後、手、器具、作業場より菌の付着、増殖
そのため、上記のことを避けるのが大事なんですね。
食中毒の主な原因 感染型と毒素型
食中毒の主な原因は、細菌性の食中毒とノロウイルスによるウイルス性の食中毒です。
冒頭に紹介したニュースで報じられていたのは、岡山の事例では仕出し料理、焼き鳥屋、回転ずしでサルモネラ菌が検出されています。
宮崎の事例では、鶏の刺身が疑わしくカンピロバクターが検出されたそうです。
細菌性の食中毒では、感染型と毒素型に分けられます。
こういった細菌、ウイルスとも非常に小さく、肉眼では見えません。
そのうえ食品中で増えても、食品の臭いや色は変わりません。
このため、食品が食中毒を起こす微生物に汚染されていても気付かずに食べてしまって食中毒が起こります。
感染型 サルモネラ 腸炎ビブリオ カンピロバクター
食べ物と一緒に体に入った微生物が、食品あるいは体内で増殖することにより大量な菌が消化管に作用して起きる食中毒です。
数が増えて、お腹(腸)の中の細菌叢がぐっちゃぐちゃになってしまうわけです。
病原菌の増殖がそのまま食中毒につながるのが、感染型です。
以下に、まとめています。
菌を持っている動物や生物、場所 / 今までに原因となった食品
という書き方になっています。
- サルモネラ・・・ネズミ、牛、鶏など/食肉、鶏卵など
- 腸炎ビブリオ・・・魚介類/刺身、寿司など
- カンピロバクター・・・人、動物、鳥類の腸管/鶏肉、牛肉など
サルモネラ菌
哺乳動物、鳥類などにひろく分布。食肉、鶏卵による発生が多い。ネズミやハエ、ゴキブリを媒介として汚染。
ペット用の亀からの感染例もあるそうです。
腸炎ビブリオ
好塩性菌で3~5%の塩水で発育、魚介類に付着する。真水で十分に洗い落とすと良い。
カンピロバクター菌
家畜類の腸管内から多数検出される。最近では、鶏肉の生肉による事故が多発してます。
病原性大腸菌
O-157のように菌外毒素を出さない大腸菌
毒素型 黄色ブドウ球菌 ボツリヌス菌 ウェルシュ菌 O157
毒素型は増殖した細菌が有害な毒素を排出し、それが食中毒の原因となるわけです。
- 黄色ブドウ球菌・・・化膿創/おにぎり、サンドイッチなど
- ボツリヌス菌・・・土壌/いずし缶詰など
- ウェルシュ菌・・・人、動物の腸管/煮物、カレーなど
- 腸管出血性大腸菌(O157など)・・・人、動物の腸管/生肉、生レバーなど
ブドウ球菌
人の皮膚、髪の毛、鼻腔、化膿した傷口など身体のどこにでも滞在。塩分、低温、感想に弱い。
増殖するときに産出するエンテロトキシン毒素によって食中毒が発生。
この毒素は100℃、30分加熱しても失活しない。
ボツリヌス菌
自然界、土壌中など広く分布。10~20℃でも増殖する。増殖中に毒素を産出。
ブドウ菌の毒素より毒性は高く危険性が高いが、毒素は容易に加熱で分解する。
今までの例として、真空パックの食品が多い。食品が変質する場合がある。
ウェルシュ菌
人、動物の腸内、土壌など広く分布。食肉が原因になることが多い。
細菌の端に芽胞を作り、この時にブドウ球菌と同様の毒素が産出される。
酵素のない環境でも増殖し、芽胞は100℃4時間加熱しても死滅しない。
腸管出血性大腸菌
大腸菌の大部分は病原性を示さないが、一部のものは感染して腸炎を起こす。
特にO-157はベロ毒素を産出、死に至ることもある。
潜伏期間が長く、少量の菌でも発症する。
その他の食中毒 ウイルス性ノロウィルス 寄生虫アニサキス
細菌性の食中毒以外では、冬に流行するノロウィルスと生魚に寄生する寄生虫アニキサスですね。
ノロウイルス
冬場にピークになる傾向があるが、一年を通じて発生。感染性胃腸炎の原因のウイルス。
人の下痢便より下水道から海に流れ、二枚貝に取り込まれるケースもある。
アルコールに耐性があるため、塩素系消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム・ミルトンなど)や熱湯で消毒。
アニキサス
アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
アニキサスは魚の内臓に寄生していますが、魚が死んでから時間が経過すると筋肉に移動します。
そのため、新鮮な魚を選んで買ったあと、内臓をすぐに処理しておくと、アニキサスが魚の食べる部分に移るのを防げます。
また、70℃以上に加熱するのも効果的です。
当たり前のことですが、お刺身は鮮度の高い物を選ぶことにして、時間が経ったものは火を入れて食べましょうね。
家庭での食中毒対策の基本3つ
増やさない、汚さない、殺す。
この3つが食中毒対策の基本3つになります。
これを家庭でやるとしたら、
- 汚さない・・・調理するときは手洗いを徹底する、調理器具も清潔にする
- 増やさない・・・菌が繁殖しやすい常温では放置しない、冷蔵する
- 殺す・・・火をしっかり入れて温める(中心部の温度が75℃以上を1分間以上)
となります。
本当に当たり前のことですが、これを徹底することで食中毒は防ぐことができます。
食品の購入、保存、下準備、調理において
食品を購入する際は、できるだけ新鮮なモノを、使いきれるように購入する。
生ものは冷蔵庫で保管をする。
冷蔵庫の詰めすぎは温度が下がる原因にもなるので詰めすぎ注意です。
厚生労働省によると「めやすは7割程度」とされています。
また、冷凍していたものを解凍するときは、常温に出しっぱなしにしていると菌が繁殖しやすいです。
冷蔵庫に移して解凍するか、電子レンジを使って短時間で解凍する方が良いです。
食材の下準備では調理前に手洗いをしっかりしましょう。
トイレに行ったり、オムツを交換したり、鼻をかんだあとも手洗いが必須です。
お肉や魚などを切った包丁で、別のモノを切るときはよく洗いましょう。
電子レンジも上手に活用しよう
「細菌を殺す」という点では、焼いたり煮たりするのも良いですが、電子レンジの加熱も使えます。
ご飯1膳程度であれば、650Wの電子レンジで120秒加熱すると温度はおよそ100℃まで上がります。
細菌を殺す基準にも達しますね。
食中毒になったときの3つの対処法
ここからは、食中毒の予防ではなく、なってしまったときの対処について話していきます。
避けるにこしたことはありませんが、自分や家族がなったときの対処法について知っておきましょう。
万が一の事態でも不安を減らして適切な行動をとりやすくなります。
「自分には関係ない」と思わず、ぜひ知っておいてください。
食中毒の主な症状 腹痛、下痢、嘔吐、発熱
食中毒の主な症状は、腹痛、下痢、嘔吐といった胃腸障害や発熱です。
原因物質やその程度によって、症状は変わってきます。
腹痛が激しく高熱が出ている、嘔吐があって何も食べれない、飲めない場合はすみやかに病院を受診しましょう。
食中毒のときに特に注意したいのは、脱水とミネラル不足による、けいれん、意識障害などです。
嘔吐が激しくて、口から何も飲めないときは、病院で点滴を受けた方が良いです。
とりわけ、お子さんなどは大人よりも体の水分の割合が多いので、脱水になったときはより重症化しやすくなります。
嘔吐の状態もそうですが、おしっこの量や肌やくちびるの乾き具合なども観察できると良いですね。
国際医療の現場では、字が読めないお母さんたちに、お子さんの唇の状態を観察したり、「お腹の皮膚をつまんですぐに元に戻るかどうか」を観察するように伝えていました。
脱水がひどくなると、体から水分がなくなるので、つまんだ皮膚がしわになり、すぐに戻らないんです。
子どもは、自分で訴えられないので、知っておくと良いですね。
下痢や嘔吐になったとき意識すべき3つのこと
食中毒ではなくても、下痢や嘔吐のときに知っておくと良いことをお伝えします。
これを知っておくと、重症化することを防げ、回復もスムーズになりますよ。
下痢や嘔吐は止めてはいけない
下痢や嘔吐は体が不要なモノ、害になるモノを排出する自然な働きです。
下痢止めや吐き気止めの薬を使って、止めようとする人もいます。
ですが、それは、胃や腸の中の有害物質(細菌やその毒素)をそのまま残すことになります。
そうすると、余計症状が悪化してしまう可能性が高いので、下痢や嘔吐はできるだけそのまま出した方が良いです。
吐いているとき、吐き気が強いときは、できるだけ横向きに寝て休んでください。
仰向けになっていると、吐いた物が気管に詰まる可能性もあるので、横向きの方が安心です。
できるだけ水分を摂取する
下痢も嘔吐も体内から水分を失ってしまうので、できるだけ水分を摂取しましょう。
嘔吐があるときは、吐き気もあるし、いっぺんに大量の水を飲むのも注意しましょう。
少しずつ、回数を増やして飲みましょう。
塩分とミネラルも忘れずに摂取する
嘔吐をすると胃液が外に出ますし、下痢の場合は腸液が外に出ます。
ミネラルも含んだ体液を失うので、水分だけではなくナトリウムやカリウム、その他ミネラルも補給しましょう。
水と一緒に塩(ミネラルも豊富な天日海塩がおすすめ)を摂取する、果物のしぼり汁を入れるなども良いです。
急場であれば、アクエリアスやポカリスエットなどのスポーツドリンクもおススメです。
ゆっくり休んで胃や腸と肝臓・腎臓をサポートしよう
食中毒になると、胃や腸などの消化管がやられます。
なので、できるだけ消化の負担にならないものを摂るようにしましょう。
油物を控えて、しっかり火を入れたものを摂りましょう。
また、一度に大量を消化するが負担が大きくなるので、食事の量も1回の量を少なくして小まめに食べるのが良いですね。
そして、細菌やウイルスの毒素を除去するのに、肝臓や腎臓も疲労している可能性もあります。
急な運動を避けて、できるだけゆっくり休息をして過ごしましょう。
食中毒対策となったときの対処法まとめ
食中毒対策の基本は、新鮮なモノを、清潔に調理する。
そして、冷蔵庫で保管し、食べるときは菌を殺すため、しっかり加熱することです。
常温で出していると、菌が繁殖しやすくなるので、氣をつけましょう。
そして、食中毒になったとき、嘔吐や下痢、強い腹痛や高熱があるときは、病院を受診しましょう。
症状が強くない場合は、飲めるなら水分を小まめに摂取して、塩や果汁なども合わせて摂りましょう。
スポーツドリンクも良いです。
もし、口から飲めなくて、時間が経っても嘔吐が収まらないときは、病院を受診して点滴をした方が良いです。
脱水には注意ですね。
食中毒対策と嘔吐、下痢のときの基本的な対処法をまとめました。
少しでも役に立てれば幸いです。
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