最近、話題になっているヤバいがん検診ご存知ですか?
何がヤバいかというと、その検査の方法です。
検査をしているのは、なんと線虫なんですよ!
こんなやつ。
激やばです。
さらに、この線虫によるがん検診は今までのガン検査に比べてメリットがあります。
なんと、検尿だけで済んじゃうんですよ。
今までのガン検診は注射して血液を採ったり、レントゲン撮影をして放射線を浴びたり内視鏡をしたりします。
多かれ少なかれ体に侵襲(ダメージ)を与えるものが多いのです。
しかし、この線虫によるがん検診は、おしっこをとるだけ。
驚くほど簡単です。
この記事では、今話題の線虫によるがん検診、N-NOSEというサービスについて詳しく解説していきます。
このサービスについての基本情報は、N-NOSE公式サイトより引用したものです。
そのあとに、看護師としての視点を踏まえて、この検診方法のメリットと実際の検診としてのデメリットを解説していきたいと思います。
気になる値段や申込方法、検査を受けられる施設についても載せています。
動画でも一部紹介しているので、合わせてご覧ください。
目次
線虫がん検査N-NOSE、値段と申込みできる医療機関、そして4つのメリットとは?
初っ端から、一番気になるそのお値段について。
線虫がん検診N-NOSEの値段とは?
線虫検査の値段は1回9,800円になります。
後で触れますが、この検査方法のメリットを考えると、1回9,800円というのはコスパ良いかもしれません。
線虫がん検診N-NOSEを申込める医療機関は?
この記事を書いている1月24日現在では、個人で申し込みができる医療機関はありません。
以下のように、N-NOSE公式サイトに掲載されています。
現在、法人様や健康保険組合様等への検査対応が集中していることから、一般のお客様の窓口となる取り扱い施設数に制限をかけさせていただいています。
ご不便をおかけし大変申し訳ありませんが、今後順次拡大してまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
引用:N-NOSE
しかし、今後個人で申し込みができる医療機関が5つ掲載されています。
あくまでも予定ですが、最も早いのは2月3日から予約受付開始、2月予定が2院、4月からの予約開始が3院となっています。
申込みできる医療機関をリストにして掲載しておきます。
※病院名をクリックするとトップページ、もしくはその病院の線虫検査のページに移ります。
〒164-0012 東京都中野区本町2丁目46番1号 中野坂上サンブライトツイン3階
※予約開始は2月ごろ
〒105-0023 東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング1階プラザ111内
※2020年2月3日より予約申し込み開始(予定)
〒198-0024 東京都青梅市新町3-53-5
※4月受付開始予定
〒250-0012神奈川県小田原市本町1丁目1番17号
※4月受付開始予定
〒814-0103 福岡県福岡市城南区鳥飼6丁目8番5号
※4月からを予定、3月初旬に予約開始時期・方法についてお知らせ
引用:N-NOSE
ちなみに、検体を提出してから検査結果を受け取るまでの日数は約2週間~1ヵ月だそうです。
待たされる時間って、気になって不安になるので、できるだけ短い方が良いと思うのですが、これから実施するところなので何とも言えませんね。
線虫がん検査N-NOSEの驚くべき5つのメリット
ニュースでも多く取り上げられているN-NOSEですが、今までのガン検診と一線を画すところが多いです。
主なメリットは5つあると考えます。
- 検査を受ける人の身体的な侵襲(ダメージ)がない
- 精密である(感度85%、特異度85%)
- 1回の検査で全身15種類のガンに対応できる
- コスパが良い
- 検尿をして検体を送るだけなので検査を受ける時間もかからず場所を選ばない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
尿をとって送るだけ、体への悪影響はゼロ
一般的にガン検診って、何らかのダメージを伴うモノが多いです。
採血は腕に注射をブスっとして血液とります。
痛いですよね。
例えば、胃がんの検査であれば、バリウムを飲んで、放射線撮影をします。
バリウムを飲むのは、けっこうキツいですし、前日夜、または朝から絶飲食の指示が出るでしょう。
放射線撮影にしても、体へのダメージはゼロではありません。
一般的には、それほど影響はないと言われていますが、回数が増えれば健康リスクは高くなりますよね。
過剰検査が新たな健康被害をもたらしているという話はあります。
なので、放射線の被ばく量も少ない方が良いのは当然ですよね。
内視鏡検査にしても、入れるときにしんどい想いしますし、もしかしたら組織を傷つける可能性もあります。
また、検査による羞恥心などを考えると、乳がんの触診、大腸がんの大腸の内視鏡も心理的な抵抗はある人はいるはず。
しかし、検尿ならば、おしっこをとって送るだけです。
現在は、指定された病院で申し込みをすることになっていますが、もっと一般化されて来れば自宅から送ることもできるようになるかもしれません。
ガン検診として、体のダメージがないのが最高ですね。
線虫がガンを見つける確率は85%、健康な人にガンがないと診断する確率は85%
また、この線虫によるがん検診は、精度も高いようです。
感度というのは、ガンのある人にガンがあると診断する確率です。
その感度は85%だそうです。
さらに、特異度というのがあります。
これは、ガンがない人に、ガンがないと診断する確率です。
これもまた85%だそうです。
※数字は公式サイトより。
検査で間違った結果が出てしまえば、要らぬ心配をさせてしまいますし、ガンの場合は不要な検査を受けることにもなります。
精度は非常に重要ですよね。
この85%という値が、実はけっこう曲者です。
1人を対象すれば、かなりの高確率だと考えられますが、集団を対象にするとやや問題もありそう。
後述しております。
ただ、線虫のすごいところは初期のガンに対しても精度が変わらないというコトです。
ガンは最初は小さく、進行すること大きくなっていきます。
そのため、今までの検査では、初期のガンは見つけにくいんですよね。
しかし、この線虫検査は初期のガンでも精度が変わらず見つけることができます。
すごい話です。
ちなみに、線虫は嗅覚が犬の1.5倍あるそうです。
その嗅覚によって、ガンがある人の尿には近寄っていくそうです。
そして、健常な人、ガンのない人のおしっこからは遠ざかるそう。
この動きによってガンのあるなしを判断しているそうです。
1回の検査で全身15種類のガンに対応、コスパ良く時間も節約できる
2019年9月の時点で、線虫が反応することが分かっているがんの種類は、15種類。
- 胃、
- 大腸、
- 肺、
- 乳、
- 膵臓、
- 肝臓、
- 前立腺、
- 子宮、
- 食道、
- 胆嚢、
- 胆管、
- 腎、
- 膀胱、
- 卵巣、
- 口腔・咽頭
だそうです。
通常のガン検診は、部位を特定して行うモノがほとんどです。
胃がんなら、内視鏡かバリウム検査。
大腸がんなら検便、血が混じってたりすれば大腸内視鏡。
乳がんなら触診して、レントゲン撮影して、マンモグラフィーをとるなど。
それぞれのガンごとに検査を受けなければいけません。
しかし、このN-NOSEは、1回の検査で全身のがん15種類に対応しています。
それで、一回9,800円というのはコスパ良いと思えます。
がんのスクリーニング検査は自治体の補助が降りて検査をする人は無料で行えることが多いと思います。
が、より精密な検査を受ける場合はお金や時間もかかります。
その点、このN-NOSEの検査であれば、手軽に行えますね。
N-NOSEのデメリットはないのか?
僕自身、こんなに簡単に分かるのなら、身体的な侵襲が無いので素晴らしい検査方法だと思ってました。
しかし、調べてみると正当な批判意見もありました。
健康な人を対象にしたスクリーニングでは精度が低すぎるのでは?
このツイートがまとまっていて分かりやすいです。
余計なお世話ですが、たぶん健康にはなれませんし、お金の無駄なのでやめておいたほうがよろしいかと思います。理由は以下で。 https://t.co/3zi4QYrR9Z
— 大脇幸志郎 (@0waki) January 15, 2020
ツイートしっかり読み込んでもらいたいのですが、感度や特異度をみると、対象が決まっていない大人数にスクリーニング検査をするのは、意味がないという話ですね。
むしろ、ガンじゃないのにガンだと診断される人も増えて、モヤっとした気持ちになったり、不安を感じる。
そこから検査が増えるという意見です。
また、初期のがんが見つかったとしても、結局今までのガン検診を受けないといけなくなる。
さらに15%の確率で外れるので、ガンがある人がガンがない、と診断される可能性もある。
こちらのツイートがさらに分かりやすいです。
特異度85%という事は偽陽性率15%ということなので、それを人口の1%しか無いような病気に適用すると、100人検査してリアルの患者は1名だけなのに15人を病気疑いと判断してしまう計算になる。 https://t.co/A29PLSYDdO
— やのせん@VR教育者 (@yanosen_jp) January 15, 2020
このように考えると、使いどころが難しい検査のような気がしてきました。
個人的には、余計な検査が減って放射線被ばくも少なくなるかと思ったのですが、調べてるうちに逆に検査が増えそうな予感が、、、、
すでに何らかの症状がありガンが疑われる人に対してのスクリーニングなら良いかもしれません。
しかし、症状があればガンに障害されてる臓器も特定しやすくなります。
そう考えると、そっちの検診を受けた方が良い氣もします。
なかなか難しいですね。
症状が何もないのに健康診断で陽性になったらどうしますか?
例えば、健康な人を対象にした検診で、このN-NOSEをやったとします。
陰性なら安心で良かったね!
で、終わります。
しかし、全員、ガンがない人ばかりだとしても、もしかしたら100人中15人はガンがある(陽性)と判断されるかもしれません。
そのとき、あなたならどんな気持ちがするでしょうか?
私も、思い込みが激しい方なので、
「えっ、嘘。本当?もしかしたらガンかも、、、、」
とちょっと不安を感じると思います。
まぁ、そんなこともあるよな、と割り切って、次の検診でもまたN-NOSEを試してみるって選択もあると思います。
あなたはどうしますか?
それで、どこか体調悪くなったりすれば医療機関を受診して検査を受けたくなる氣がします。
あなたならどうでしょうか?
私が受けたいと思う状況を考えてみると、例えば、お腹の調子が悪くて食欲が出ないことが続いている。
バリウム検査は放射線のリスクが高いので受けたくないですが、受けたとして、ガンの疑いが出てきた。
そういう状況であれば、線虫にがんの有無を診断してもらいたい氣がします。
早期の検査で陽性ならば生活習慣を変えようとする人も増えるのでは?
がんは、そもそも生活習慣病です。
生活習慣からガンになる危険が高くなり、健康的な生活をしている人はなりにくく、予防ができるわけです。
良い方向に考えれば、早期で発見されることで、治療もそうですが、生活習慣の改善をしようと思う人が増えるのでは?
と思えることです。
ガン検査は体に侵襲がありますが、生活習慣を変えることは何もデメリットがありません。
食事に氣を遣い、効果的な運動をする。
方法が間違っていれば支障が出ますが、そうでなければ身体上のデメリットはありません。
呼吸機能や免疫力を上げることは、すべての病気の予防につながります。
今後の技術の進歩、検診の効果的な制度を
しかしながら、この線虫によるがん検診は新しい技術であり、発展途上だと思います。
研究者、開発者、会社の代表である広津さんのこちらの著書を拝読しました。
線虫検査の方法や、その仕組みについても解説してくれています。
名言されてはいませんが、おそらく線虫はゲノム編集をして、特定の嗅覚センサーを持った個体を作られているようです。
そのため、臨床データが積み重なって、技術の進歩もあればこれから精度がさらに高くなるかもしれません。
それと同時に予防から治療に至るまでの医療の中で、この技術の最適な使いどころを考えていく必要がありそうですね。
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