「健康は食から」ということで、食品添加物講座を定期的に開催してます。
ご参加いただいた生徒さんからよく言われるのが、コレ。
「無添加だから大丈夫だと思ってました!」
添加物は危ない、食べたくない、というイメージがあるので、無添加って書かれていると大丈夫と思ってつい手に取っちゃいますよね。
でも、実のところ、無添加と書かれていても、ずっと食べていると健康上デメリットがあるものが入っています。
まず、一般的に多くの人が摂りたくないと思ってる添加物をおさらいしておくと。
化学調味料、合成着色料、保存料、この3つです。
この3つを避ける人は多くて、それで無添加と書かれている食品が選ばれています。
しかし、無添加と書かれているものの中には、同じような働きのものが入ってるんですよね。
添加物を置き換えてるわけです。
それは、商品裏側の原材料表示を見ないと分かりません。
無添加って書かれてるものを選ぶときは、安全なもの、自然なものとして選ぶはず。
添加物に近いモノが入ってるなんて思ってないですよね。
買った人は裏切られた気持ちになると思います。
今回、体に優しい安心な食品を選びたいと思っている方に向けて、具体的に何に注意すればよいかをお伝えします。
最後まで読んでいただければ、買って損した!失敗した!ということがなくなり、体に優しい食品を選ぶ知識が身につきます。
動画が良い方は以下の動画をどうぞ。
目次
無添加表示に隠された3つの罠、化学調味料、合成着色料、保存料不使用の裏側
最初に、注意しておきたい置き換え物質をお伝えしておきます。
- 化学調味料・・・たん白加水分解物、酵母エキス
- 合成着色料・・・天然着色料(コチニール色素など)
- 保存料・・・日持ち向上剤(PH調整剤、グリシンなど)
これを覚えて避けておけば、無添加と書かれているハズレを引くことはなくなります。
それでは、具体的にそれぞれの物質についてみていきましょう。
化学調味料はたん白加水分解物、酵母エキスに置き換え
「味の素」に代表される化学調味料は、興奮作用があることが言われており、味覚破壊にもつながると心配されています。
物質にするとグルタミン酸ナトリウムというものがそれ。
調味料(アミノ酸等)の中も含まれているものとは?
また、食品の成分表示の中でよく見かける「調味料(アミノ酸等)」。
これにも化学調味料が入っています。
- L-グルタミン酸Na 20%
- 塩化カリウム 5%
- クエン酸三Na 3.6%
- リン酸水素二カリウム 2.3%
- 乳酸カルシウム 2.2%
- DL-アラニン 1.9%
- 5-イノシン酸Na 1.7%
- L-酒石酸水素カリウム 1.6%
- フマル酸―Na 1.6%
- コハク酸 1.6%
- D-ソルビトール 1%
- コハク酸ーNa 1%
- L-リジン塩酸塩 0.8%
- 炭酸カリウム 0.8%
- DL-メチオニン 0.6%
- L-アスパラギン酸Na 0.3%
- L-アルギニン 0.1%
- たん白加水分解物他 53.9%
出てきましたね~。
グルタミン酸ナトリウムが嫌われるようになった背景とは?
最近は、グルタミン酸ナトリウムは、昆布にも含まれている自然なものだというPRが流れていますが、それは違います。
昆布に含まれているのは「グルタミン酸」で、「グルタミン酸ナトリウム」とは別物なんですよね。
グルタミン酸ナトリウムは、化学処理をして作られているので自然なものではありません。
これが嫌われるきっかけはアメリカで起こった中華料理店症候群です。
1960年代に中華料理を食べた少数のアメリカ人が食後に炎症を覚え、眠気、顔面の紅潮、掻痒感、頭痛、体の痺れそして軽度の背中の無感覚などの症状が見られた。
これらの症状の大部分は悪化することはなく、しばらくすると消失するというものである。この症状は間もなく「中華料理店症候群」という呼び名がつけられた。
こういった背景もあり、化学調味料は嫌われていますが、それはたん白加水分解物、酵母エキスに置き換えられて無添加になっています。
発がん性が心配されるたん白加水分解物、酵母エキス
たん白加水分解物、酵母エキスはそれを作る過程で塩酸処理をします。
その際に、クロロプロパノールという発がん性物質ができることが問題になっています。
ちなみに、原材料については、たん白加水分解物は、野菜や動物の肉や骨など、酵母エキスはトルラ酵母という酵母です。
こういった添加物や発がん性物質には、量の問題があります。
大量にとってしまうと、発がん性があるかもしれないが、量が少なければ影響は少ない、という考え方です。
添加物には、ADI(一日摂取許容量)というのが決められています。
クロロプロパノールは添加物にはなりませんが、同じように基準値が決められています。
日本では、0.4 mg/kg。
食品内に基準値以上のクロロプロパノールが入っていると法律違反になります。
ちなみに他の国の基準は、こちらです。
以下、農林水産省のHP、「クロロプロパノール類及びその関連物質をめぐる国際的な動向」より抜粋。
国/地域 食品 基準値(mg/kg 食品) オーストラリア しょうゆ、オイスターソース 0.2 ニュージーランド カナダ しょうゆ、オイスターソース等 1.0 (暫定基準) EU しょうゆ、酸加水分解植物性たんぱく 0.02(乾物ベース※) マレーシア 酸加水分解植物性たんぱくを含む食品 0.02 酸加水分解植物性たんぱく 1 米国 酸加水分解植物性たんぱく 1 (業界自主基準) タイ 大豆たんぱくを原料とする加水分解又は発酵調味料 0.4 (固形分40%以下) 1 (固形分40%超) UAE しょうゆ 1 フィリピン しょうゆ 1 台湾 しょうゆ及びしょうゆ加工品 0.4 中国 酸加水分解植物性たんぱく 1 韓国 酸加水分解しょうゆ、混合しょうゆ 0.3 (酸加水分解しょうゆ又はその原液を混合したものに限る) 酸加水分解植物性たんぱく 1 スイス Savory sauces 0.2 固形分40%の液状製品に対して0.02 mg/kgとしたもの。製品中の固形分の濃度に応じて調整する必要があります。
例えば、固形分が20%の製品の場合、最大基準値は0.01 mg/kgとなります。
EUは基本的に疑わしいモノとは積極的に関わらないという姿勢があるので、基準値も厳しいです。
アメリカ、カナダ、中国、タイ(固形)は日本よりも緩いですね。
アメリカやカナダ、ヨーロッパは食文化の違いから、このようなうま味成分はそれほど求められていません。
なので、そもそも日本より使用量は少ないと考えられます。
日本では、2人に1人はガンになると言われてます。
発がん性物質は少ないに越したことはありません。
EUの基準に合わせてほしいと思います。
味覚が壊れる?強いうま味が過食を引き起こす
このたん白加水分解物、酵母エキスの心配な点はもう1つ。
それが、過食を引き起こすのではないかというコトです。
どちらも強烈なうま味成分なので、少量でかなりの味がします。
インスタント食品、スナック菓子では、使われてないものは極々わずか。
インスタントラーメンなどのスープを最後までグビッと飲んでしまうのは、この強烈な味とスッキリさせる酸味料などが一体になっているからです。
食欲を亢進してしまって必要以上に食べちゃうようになるんですね。
こちらの動画も参考に。
食品の不思議、どうして無添加表示ができるのか?
塩酸処理をしていて、発がん性物質がある「たん白加水分解物」や「酵母エキス」。
入っていたとしても無添加表示ができるのはどうしてか?
それは、食品に分類されているからなんです。
たん白加水分解物も酵母エキスも原材料になるんですね。
2020年4月から食品表示にスラッシュルールという決まりになります。
これは、食品・原材料を初めに記載して、/(スラッシュ)のあとに添加物を記載するというルールです。
表示が見やすくなるので、消費者としては助かります。
その表示で見ると分かりやすいんですが、たん白加水分解物、酵母エキスは、かつお節やタマネギ、昆布などと同じところに書かれています。
/よりも前なんですね。
なので、これらは食品に分類されてるという状況です。
そのため、食品添加物ではなく、無添加と書いても嘘ではないんですよね。
いや~、なんか法律の抜け穴っぽいことが、大々的にやられてますね💦
天然着色料といっても安全ではない
次に、着色料の話です。
合成着色料というのは、石油成分から精製されるので、タール色素とも呼ばれています。
以下、wikipediaより
日本
食品添加物等に使用されている色素は通常使用量により反復投与毒性試験、発がん性試験、変異原性試験で毒性のないことが確認されたものである。1960年代にそれまでに食品添加物として指定されていたタール色素に発がん性などが発見され相次いで指定が取り消されたため、タール色素のイメージが非常に悪化した。
それ以降は、食品用途には天然物から得られる色素を代替として用いられることが多くなっている。
日本の食品添加物12品目(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号)
また、イギリスでは、このような合成着色料(赤色102号、黄色4号、黄色5号、赤色40号)は「子どもの行動と注意力に影響を与える」として警告表示を載せることが法律で決まっています。
日本では、バンバン使われていますね。
特に子どもたちが飲むペットボトル飲料なんかに多い印象です。
注意が必要ですね。
天然着色料なら安全か?スタバが使用を止めたコチニール色素とは?
なので、合成着色料を避けられてる人も多いです。
そのため、合成着色料無添加、不使用という表示がされています。
それと同時に、「天然着色料」という表示もあります。
この天然というのが、体に良いイメージがあるので、使われるんですよね。
しかし、天然だからといって体に良いとは限りません。
例えば、全世界的コーヒーチェーンのスタバは以前コチニール色素という着色料を使っていました。
これは、カイガラムシ(エンジムシ)の雌の腸からとれる色素です。
この虫。
こんなキレイな赤色です。
スタバのメニューでは、ストロベリーフラペチーノとかに使われてたわけですね。
しかし、スタバでは今はこのコチニール色素を使わず野菜原材料の色素を使っています。
その理由は、コチニール色素は虫が原材料なのでタンパク質であり、極まれにアレルギー症状を引き起こすことがあるからです。
スタバでは使用を取りやめましたが、現在でもコチニール色素はあらゆる食品に使われています。
ハム、かにかま、イチゴ系のお菓子、赤いイメージのある食品、飲み物にはガンガン使われています。
最近はアレルギーの子どもも増えているので、減らすに越したことはありません。
アカネ色素、使用許可の後、発がん性が見つかったケース
過去には、認可されていた天然着色料から、発がん性、腎毒性がみつかって使用許可が取り消されたケースもあります。
アカネ色素という、セイヨウアカネから抽出する成分。
セイヨウアカネの色素は、食品添加物(着色料)として認可されていた。
1997年には、ラットを用いた中期発がん性試験(前がん病変を検出する方法)で、発がん性なしとの結果が得られている。
しかし、2004年に長期発がん性試験(中間結果)で腎がんの発生が見られ、また変異原性も陽性との報告があることから、発がんイニシエーター(発がん性参照)の疑いがあるとして、食品添加物としての使用は禁止された。
天然だから安心というわけではないんですね。
ちなみに、このアカネ色素が使用禁止になったとき、ニュースなどで報じられることはなく、その翌年から使用されなくなっただけです。
こういうところが、行政が信頼を失くしてしまう原因だと思います。
自分自身で身を守るしかないですね。
合成保存料不使用、日持ち向上剤は使用
そして、合成保存料について。
保存料もできるだけ避けたいと思う人が多いですが、これはある意味必要なものです。
今のように、作り手と買い手の距離が離れて、国際的な流通によって食べ物が出来上がっていれば、食中毒を防ぐのには必要ですよね。
しかし、摂り過ぎるのはよくありません。
避ける一番の手段は、野菜や肉、魚など生鮮食品を買ってきて調理すれば良い話。
それでも、買い物や料理をする手間もかかりますから、コンビニ、スーパーでお弁当買って済ます人も多いですよね。
気になる保存料について具体的に見ていきましょう。
代表的な合成保存料とその危険性
代表的な合成保存料に、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムがあります。
ソルビン酸は、ウインナー、かまぼこなどに使われていますが、基準値が厳しいです。
安息香酸ナトリウムは、栄養ドリンクや炭酸飲料などに使われてますね。
どちらも摂り過ぎはよくありません。
が、それと同時に、他の物質との組み合わせによって、危険性が強くなるという心配もされてます。
ソルビン酸は亜硝酸と組み合わせると危険性が増すので、両方入ってる可能性のあるウィンナーなどは要注意です。
安息香酸ナトリウムはビタミンCと混ざると、発がん性があり毒性の高いベンゼンになると言われています。
避けるに越したことはありません。
保存料不使用、お弁当には必ず入ってる?日持ち向上剤とは?
こういったことから、保存料は嫌われています。
そこで、保存料の代わりに使われているのが日持ち向上剤です。
代表的な日持ち向上剤はこちら。
- PH調整剤・・・食品を酸性に傾けて保存性を高める
- グリシン・・・制菌効果があり食品にツヤや甘味を与える
コンビニに寄って、お弁当の裏側を見ればほぼ2つとも入ってると思います。
ちなみに、グリシンというのは、単一の化学物質ですが、PH調整剤は一括表示です。
なので、PH調整剤に含まれている物質はたくさんあります。
メーカーによって配合が違うと思いますが、一例として挙げておきます。
気になる一括表示、PH調整剤の中身とは?
- 酢酸Na 55%
- グリシン 10%
- グルコノデルタラクトン 8%
- アジピン酸 5%
- リンゴ酸 5%
- メタリン酸Na 5%
- ポリリン酸Na 5%
- グルタミン酸Na 2%
- リゾチーム 0.03%
- でんぷんなど 4.97%
- 酢酸Na 80.4%
- 氷酢酸 2.1%
- フマル酸 ― Na 2%
- グリセリン脂肪酸エステル 1%
- コハク酸二Na 1%
- 二酸化ケイ素 1%
- 食品素材 12.5%
これらは、一括表示なので、使用目的によって表示が異なる場合があります。
PH調整剤と書かれてる場合は、PHの調整が目的。
酢酸Na、グリシンと書かれている場合は日持ち向上が目的。
調味料(有機酸等)と書かれている場合は、調味目的、になります。
ということで、保存料は消費者に嫌がられるので、日持ち向上剤に置き換えられてるんですね。
どっちが良いとか、どっちが悪いというのもナンセンスなので、自然な食品、腐る食品を選ぶのが良いと思います。
無添加表示に騙されない安心な食品選び3つのポイント
嫌われている添加物として、化学調味料、合成着色料、保存料があり、それぞれ他のモノに置き換えられているという話でした。
こういう話をすると、じゃあ、何を選べば良いの?
という疑問が浮かんできます。
そこで、ざっくりと食品の選び方についてもシェアしておきます。
パッケージを見て買ってはいけない
まず第一に、パッケージを見て買ってはダメということです。
「料亭の味」と書かれていても、ミシュランガイドに乗ってるシェフが監修していても、無添加、不使用と書かれていても、成分表示を必ず見てから買うようにしましょう。
成分表示の項目が少ないモノ、もしくは食べ物だけのものを選ぶ
そして、成分表示の項目が少ないモノ、もしくは食べ物だけのものを選ぶようにしましょう。
ちなみに、欧米では、原材料表示が5つ以上あるものを超加工食品として分類、超加工食品を毎日食べると寿命が18%短くなるといった研究も出ています。
こちらの記事も合わせてどうぞ。
以上、無添加、添加物不使用の裏をお伝えしました。
安さ、便利さ、見栄え、単純なオイシさを求めてしまうと、どうしても添加物やそれに類するものが必要になります。
野菜や肉、魚を買って、家で調理するのが添加物を避ける最大の方法です。
そして、原材料にこだわって商品を作ってるメーカー、そういったものを中心に取り扱っているお店で選ぶのが良いですね。
また、リスト化していこうと思うので、興味があればコメントくださいね。
そういった心のある職人さんやメーカーで商品を買うことで、その人や会社を応援することになります。
買いものは投票、誰もが安心して食品を食べられる社会を実現しましょう。
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