社会学的ダイエットおすすめ本「加速する肥満、なぜ太ってはダメなのか?」レビュー

ダイエット関連の本で「加速する肥満、なぜ太ってはダメなのか?」を読んだのでレビューしたいと思います。

健康的にダイエットするやり方ってほとんどの人が知ってますよね?

食事のカロリーを少なくして、油や甘いものを控える。

そして、運動をする。

痩せる方法は誰もが分かっているのに、アメリカでは社会問題になるほど肥満の人が増えています。

日本はアメリカほどではありませんが、肥満を原因とした生活習慣病が増えているのは事実。

糖尿病は予備軍を合わせると2,000万人を超えるとも言われています。~平成28年国民栄養調査より~

どうして、やれば良いことが分かっているのに、多くの人ができずに太ってしまうのか?

その疑問を多角的に検証した本が、今回ご紹介する本。

最初にざっくりとポイントをまとめてお伝えしておきます。

加速する肥満のポイント
  • ヒトが狩猟採集をしていた時代は肥満はなかった
  • 農業が始まり備蓄可能で炭水化物が主食になり肥満が増えた
  • 食の超常刺激、精製食品が中毒性を高めている
  • 体を動かすことが最も効果的な解決策
  • テレビが肥満の原因、時間と注意力まで奪われている
  • ダイエットに効果的な心理学的アプローチはイメージ・催眠療法と認知行動療法
  • 食品行政の裏側と健康な社会になるためには?

で、この本は過去の研究結果や統計データを用いながら、人が太る原因を調べ、何によって健康な食生活や運動が邪魔されているのか、考察されている本になります。

痩せるための具体的な方法、というよりかは、雑学を織り交ぜながら、肥満が問題になっている現代社会への問題提起と行動を推進するための本って感じです。

動画では、この本の中で触れられている肥満の3つの原因について解説しました。

炭水化物はやはり人類を滅ぼす?

まず初めに、人類の歴史を紐解いて、狩猟採集が主だった時代にはほぼ肥満はなかったこと。

小麦や稲作含む農業を始めたことで、炭水化物が主食になり、そこから肥満の歴史が始まっていると書かれています。

「炭水化物は人類を滅ぼす」とまで、糖質制限を勧めているわけではありませんが、狩猟採集の時代は今よりも労働時間が短く豊かな時代であったとも。

今も残っている狩猟採集民である「クン族」の食生活は105種の植物260種の動物を食べているそうです。

海外から食材輸入しまくっている日本も、野菜や肉、魚などを合わせてもここまでバリエーションなさそうですよね。

食べ物の種類に関して言えば、文明を持たない狩猟採集民の方が豊かという逆説的な事実

これには、ちょっと驚きですね。

もちろん、血圧、体脂肪も先進国の国民よりも適正で、2型糖尿病になる人はほぼいない。

こういった客観的なデータから、農業が始まり、炭水化物を主食としたことでヒトの重労働と肥満が始まったことについて話が進みます。

最近では、有名になりましたが、縄文時代など狩猟採集民の生活は食事と住居を確保するための労働時間は1日3時間程度だったことが分かっています。

1日3時間の労働で、ずっと暮らしていけるわけですから、残業残業の日本社会に比べると時間的にはかなり豊かだと考えれますよね。

また、炭水化物が主食となり、高カロリーな食べ物を食べるようになったことで、体脂肪が蓄えられるようになり、生殖年齢が低年齢化したことも触れられています。

このデータは非常に面白くて、農業というのは人海戦術でもあるため、人口を増やすのは効率を上げる有効な手段ですよね。

だから、ちょっと俯瞰した見方をすると、人の体は自らが選択したライフスタイルに適するように変化していくようにも思えます。

精製食品が肥満をさらに加速させる

農耕が始まり、文明がおこり、人の肥満が加速していきます。

その大きな原因の一つが食の超常刺激、精製された食品になります。

超常刺激とは何か?

この本を読んで初めて知りましたが、「超常刺激」という言葉は動物行動学の言葉らしいです。

自然には存在しない、人工的な強い刺激のコトを超常刺激と言います。

具体的な例として挙げられているのが鳥の卵。

巣で卵をかえす親鳥は、人間が作った本物に似せたフェイクの大きな卵の方に関心を寄せて、本物の卵をほっぽいて世話をしてしまいます。

これには、大きさが関係していて、親鳥はより大きな卵の方に反応するんですね。

こういった自然の本能を強烈に刺激するものが超常刺激になります。

そして、人が太ってしまう最大の超常刺激が何かというと、精製された食べ物なんですね。

最近では、精製され砂糖や油、塩分で加工された超加工食品が危険という話題も増えています。

砂糖、精白された小麦粉、お米、高脂肪の食品

砂糖、精製された小麦粉、お米などの炭水化物、そして高脂肪の食品。

これらが、人の味覚をひきつけ、中毒性を起こしているという考察が書かれています。

砂糖に関しては、このブログでもよく取り上げていますが、興味深い研究の話がありまました。

砂糖によってオピオイドが体内で生成

それは、ラットに大量の砂糖を上げたところ、体内でオピオイドが生成されるということ。

オピオイド (Opioid) とは、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。

wikipedia

緩和ケアで使われる鎮痛剤のモルヒネなんかもこれにあたります。

もちろん、麻薬扱いですね。

砂糖をとると、このオピオイドによって陶酔作用が起こり、中毒性につながっているのでは?

という話です。

確かに、甘いものをとると、幸せな感覚になりますから、人でも同じようになっている可能性高いでしょうね。

あと、僕の友人が大学院で研究していた内容に「アメを舐めることで子どもの疼痛が和らぐ」というのもありました。

麻薬は厳重に管理されていますが、砂糖はどこでも安く買えちゃうので、なかなかに怖い話です。

高脂肪食品はレプチンの感受性を低下させる

そして、ファストフードのハンバーガーやフライドポテトなどの高脂肪食品。

こちらは、食欲をセーブするホルモンであるレプチンの感受性を下げるという研究もあるそうです。

レプチンというのは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、それ以上は食べないように指令を送るはたきをしています。

アルバート・アインシュタイン医科大学の実験では、マウスに脂肪過剰な餌を数回与えると、レプチンに反応する能力がほぼ失われてしまうという結果が出たとのこと。

食べまくるわけです。

幸い、高脂肪のエサをあげなければ、数日で元に戻るそうですが、食欲をセーブするホルモンが効かないと、デブまっしぐらですよね。

そして、この本ではファストフードの子どもを虜にするためのマーケティングについても書かれています。

日本マクドナルドの創業者、藤田田さんの話も少し載っていたのは、面白かったです。

運動不足を招くテレビは時間泥棒だけではなかった

次に、現代人の運動不足と運動の健康効果についての章があります。

こちらは、座りっぱなしが死を招く、軽い有酸素運動でもうつに効くなど書かれていますが、特別アンテナに引っかかったところはありませんでした。

で、次にこの本で、強く言われているのは、テレビの影響についてです。

この本が出版されたのは2010年なので、まだスマホが出てきたばかりの時代です。

そのため、今よりテレビを観ている人が多かったと思いますが、先進国の人たちのテレビの平均視聴時間は1日3時間

余暇の中でもっとも時間を使っているものでした。

このテレビを観ている時間は、運動もしないし、カウチポテトよろしく何か食べながら観ることも多いので、間違いない肥満の原因になります。

しかし、時間を奪って、動かなくなるだけではない、テレビの影響についてがまとめられていて、新しく知ったものも多かったですね。

テレビの定位反応、観ている時間は基礎代謝が下がる

テレビは、人に定位反応を起こすようです。

突然の新奇な刺激が与えられたときに,動物がすばやく頭と目をその刺激源に向けることを定位反応という。

この定位反応は「パブロフの犬」で有名なロシアの生理学者、イワン・パブロフが見つけて名付けたものです。

テレビの映像が、カットやズーム、パンなどして、画面が素早く切り替わるコトで、人は素早く頭と目を向けてしまうんですね。

友人や家族との話に集中していても、どうしてもテレビが気になって観てしまうコトありますよね。

僕も、よくあったので、「うわぁ、マジだ」と心底、思いました。

で、この定位反応が起こると、体内では以下のような作用があります。

テレビを観てるときに起こる反応
  • 脳血流の増加
  • 心拍数の低下
  • 脳波、α波の抑制

これらのことから、注意を刺激に向けて、体をアイドリング状態に持っていくのではないかと思います。

α波は脳がリラックスしているときに出るので、それが抑制されるというコトは軽度のストレス状態だと考えられます。

で、ここからが、またテレビのすごいところ。

この定位反応の回数(複雑なカメラワークや光刺激)が多くなると、人は頭と目が画面に固定され、定位反応さえ起らなくなるそうです。

ボーっと画面を観ている状態ですね。

注意をテレビに奪われるんですが、集中力や学習や記憶のレベルも低下するそうです。

テレビをじっと観ている人に話しかけても、すぐに返事が返ってこないですよね。

これには、上記の理由があったんですね。

さらに、驚きなのですが、上記のような状態でテレビを観ているときというのは、ただ寝っ転がっているときよりも、基礎代謝が14.5%も低下するそうです。

寝っ転がっている方が、座ってテレビに見入っているときよりも、カロリー消費が高いんですね。

おー、まさに太る原因はテレビなのです。

2019年の今は、テレビよりもスマホを観ている人の方が多いでしょうが、同じように映像には注意しておかねばいけませんね。

認知の歪み、太っている人は摂取カロリーを低く見積もる

で、その次に、知っておくと良いな、と思ったのは、太っている人の「認知のゆがみ」についてです。

アメリカ人を対象にした実験ですが、自分が食べた食事のカロリーを自己申告してもらうという実験のこと。

過体重の人、肥満の人と分けて、調査した結果、平均すると以下のような結果だったそう。

  • 過体重の人・・・実際の食事の80%
  • 肥満の人・・・実際の食事の64%
  • 肥満の人(中には)・・・実際の食事の50%

つまり、自分が食べている食事のカロリーを低く見積もっていることで、予想以上にカロリーを摂っていたんですね。

自分の思い込みやイメージが現実とずれている、認知の歪みが起こっているということです。

これによって、望ましい行動がとれなくて太ってしまう人も多いでしょう。

で、本の中では、こういうケースも含めたダイエットには、「イメージ・催眠療法、認知行動療法の2つの心理的アプローチが効果的だった」とあります。

ダイエットに効果的な催眠療法と認知行動療法

この本の著者のディードリ・バレット博士は、ハーヴァード大学医学部の心理学科准教授だそうです。

なので、この点においては専門ですね。

催眠療法、20週間で平均9kgの減量

催眠療法は、ある研究では、8週間の催眠療法と、12週間の自己催眠を合わせて行い、平均約9kg痩せたという結果があるそうです。

催眠の内容については、低カロリーで健康的な食事が好きになるとか、少量食べただけで満腹になるという暗示を組み合わせる。

また、問題のある食品(ジャンクフードや甘いお菓子)が不快にみえてくるなど、だったそう。

認知行動療法は記録と自己観察による行動変容

認知行動療法の基本は記録することです。

ダイエットをするにあたり、やってしまった問題、食べ過ぎや決められた運動ができない、などを記録します。

そして、どうしてできなかったを考え、自己観察をやっていきます。

中には、「遺伝で痩せれない」、「そういう体質だから」という正確ではなく事実と異なる思い込みなども明らかにします。

「やればできること」や、実際の食事のカロリーを確認し、認知の歪みを修正することで、望ましい行動につなげるモノです。

記録をすることで、体重の増減も分かり、成果を確認できて、より行動が強化されてダイエットが上手くいく、という感じですね。

まとめ 加速する肥満、なぜ太ってはダメなのか?

最後の章には、アメリカの食品行政の企業との癒着、トランス脂肪酸の話、健康的な社会になるには?

など書かれていましたが、ここはそれほど注目する内容もなかったので、サクッと目を通しました。

やはり、食品メーカーやファストフードの大企業の力は強いですね。

加速する肥満のポイント
  • ヒトが狩猟採集をしていた時代は肥満はなかった
  • 農業が始まり備蓄可能で炭水化物が主食になり肥満が増えた
  • 食の超常刺激、精製食品が中毒性を高めている
  • 体を動かすことが最も効果的な解決策
  • テレビが肥満の原因、時間と注意力まで奪われている
  • ダイエットに効果的な心理学的アプローチはイメージ・催眠療法と認知行動療法
  • 食品行政の裏側と健康な社会になるためには?

ダイエット本の多くは、具体的な食事方法や運動方法が書かれていることが多いですよね。

ですが、この本は、文化社会学的な俯瞰した視点から、肥満について考察されている点で面白いと思いました。

誰もが、体を悪くすることは望んでいないのに、太ったり、生活習慣病になる人が増えている。

そういった背景のディティールを知ることができるので、統合的な視点から肥満について学んでみたい方にはおすすめですね。

また、精製食品による超常刺激の強さがここまであるのか!

と驚きもありますので、そういう食べ物は止めたくなる気持ちも強くなります。

興味があれば、読んでみてください。

あと、こちらの本も食行動心理学や食品マーケティングを分析した食べ過ぎを防ぐ本です。

そのひとクチがブタのもと感想と無意識に食べ過ぎを防ぐ5つの環境セッティング

2019年11月12日

合わせてどうぞ。

最後までお読みいただきどうもありがとうございます。

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ABOUTこの記事をかいた人

1981年生まれ、元看護師、青年海外協力隊として発展途上国での活動で常識が大きく変化し医療の限界も痛感。人が健康に生きるには自然な食べ物や環境が大切だと氣づく。帰国後、潜在意識や量子力学について学びコーチング・コンサルティングを行う。好きな食べ物はから揚げ。