どうも、ヘルスコーチの徹也です。
先日、11月20日にNHKのあさイチで「糖質の新常識スペシャル」が放送されました。
糖質との付き合い方、糖質制限の健康におけるリスク(危険性)などがまとめられていました。
落としどころとしては、良かったのですが、ツッコミどころも多数。
情報の正確性に欠けてる点が、見受けられました。
糖質制限、低炭水化物食の健康への影響を調査した論文を紹介していましたが、
結論の一部を切り取って、誤認する表現をしていました。
そこは、けっこう大きなミスだと思います。
それによって、糖質制限中の人が不安を感じたり、
より健康に生きるのに何が大切か?
が分かりにくくなっちゃいますよね。
その点を、ちょっと是正した方が良いのではないかと思いブログにします。
僕は、看護師として臨床を経験した後、発展途上国での母子保健活動、その後大学院に行って保健学修士を取得しています。
なので、論文の読み方も少し分かりますので、できるだけ正確な情報をお伝えしたいと思ってます。
あと、糖質制限に関しては、僕自身は行っていません。
また、極端に糖質制限をしたケトジェニックな食事法を長期間(2,3ヵ月以上~)やることもおすすめしていません。
ただ、「食後の高血糖」や「血糖値の変動幅が大きい」のを防ぐことは、健康上、アンチエイジングという観点からもめちゃ重要だと考えています。
そのため、糖尿病を予防する、血糖値をコントロールするなど、そういった目的を持って期間を決めてやるのはありだと考えています。
※医師の指導に変わるモノではありません、治療中の方は主治医にご相談ください。
最後まで読んでもらえると、糖質制限で死亡リスクが上がった本当の原因と、現代を健康に生きる本質的な考え方が分かります。
ダイエット、アンチエイジングにも効果的です。
動画でもお伝えしてます。
ながら聞きしたい方は、下の動画をクリックで。
で、今回のNHKあさイチ、糖質の新常識スペシャルの大きなツッコミどころは以下の2点。
- 紹介した論文は、低炭水化物食で死亡リスクが1.3倍になると言っていたが、かなり不正確
- 専門家の医師のコメントとして、「ご飯やパンは血糖値を上げにくい」と言ってたところ
になります。
詳しく見ていきたいと思います。
目次
NHKあさイチ「糖質の新常識SP」内容まとめと重大なツッコミ
先ず最初に重大なツッコミからしていきます。
これ、本当にメディアのミスリードにもなり得る話なので、重大だと思います。
紹介した論文では、肉食ベースの低炭水化物食で死亡リスクが1.3倍という結論
あさイチの糖質の新常識スペシャルで紹介されていたのが、テレサ・ファン教授のこちらの論文だと思います。
で、この論文の結論を引用します。
A low-carbohydrate diet based on animal sources was associated with higher all-cause mortality in both men and women, whereas a vegetable-based low-carbohydrate diet was associated with lower all-cause and cardiovascular disease mortality rates.
以下、和訳
(動物由来の低炭水化物食は男性と女性の両方で全死因死亡率が高く、一方、野菜ベースの低炭水化物食は全原因死亡率と心血管疾患死亡率が低かった。)
pubmed:Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: Two cohort Studies
この結論からすると、糖質制限=低炭水化物食で死亡リスクが1.3倍になったのは、肉食ベース(動物由来)の低炭水化物食をしていた人たちになります。
野菜ベース(植物由来)の低炭水化物食は死亡率、心血管死亡率も低くなってた、と書かれています。
同じ低炭水化物食でも、お肉系のタンパク質が多い人と、野菜や豆系のタンパク質が多い人で結果が変わっています。
これを考えてみると、本当の死亡リスクは低炭水化物食ではないってことになります。
本文内に、肉食ベースのグループは野菜の摂取量が減る傾向にあったという記述もあるので、
そこから考えると、
- 肉の摂取量が増えたことが死亡リスクを上げた
- 野菜の摂取量が減ったことが死亡リスクを上げた
と見えますよね。
実際に、野菜ベースで低炭水化物食をやってた人は、死亡率が上がらずに逆に下がったという結果です。
じゃあ、長期的に見たときに、お肉が死亡リスク上げた、野菜が死亡リスク下げた、という話になりませんかね?
肉食ベースの低炭水化物食で死亡率が1.3倍になった原因
これは、結論が出てないので、予想でしかありませんが、2点ほど考えられます。
1つは、お肉の質が関わってくるのではないかと思います。
もう1つは、炭水化物量が減り、根菜やイモ類も減るので、ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量が減りやすいと考えられます。
加工肉、赤身肉の摂取量が増えることが死亡率を上げるのでは?
例えば、ハム、ソーセージ、ウィンナー、ベーコンなどの加工肉と赤身肉は、死亡リスクが高くなるという研究もあるんですよね。
炭水化物を減らして、肉の摂取量が増えることで、加工肉の摂取量が必然的に増えます。
そして、その加工肉に含まれる食品添加物や調味料、保存料、もしくは畜産で使われる抗生物質や成長ホルモンなどの摂取量も増えます。
ほんのわずかずつではありますが、それらの化学物質が長年積もった結果なのではないでしょうか?
それを明らかにするのは超大変です。
例えば、
グラスフェッドビーフ(牧草のみで飼育された牛)で、抗生物質も成長ホルモンも使っていないお肉を主に食べていた人と、
ハム、ソーセージなどの加工肉や赤身肉(牛、豚、ヤギなど)を主に食べていた人の比較した研究などが必要になると思います。
ですが、そこまでこだわって行う大規模の追跡調査は、ほぼ不可能と言って良いと思います。
ただ、過度な加工食品=超加工食品が死亡率を上げるという研究結果はヨーロッパを中心に出てきています。
こちらで紹介している記事も一緒にどうぞ。
加工食品は極力避けるべきだと思います。
ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量が減ることで死亡率上がるのでは?
肉食ベースの低炭水化物食の死亡リスクが上昇する2つ目の理由として、野菜や穀物、根菜類の量が減ることが考えられます。
それらの食物に含まれる重要な栄養素が、ビタミン、ミネラル、食物繊維になります。
実際、食物繊維は栄養素ではありませんが、最近はその働きを重要視して、第5の栄養素などとも呼ばれています。
ビタミン、ミネラルの重要性は多くの人が知っていると思いますが、食物繊維も重要です。
血糖値に関して、最も影響を与えるのは食物繊維。
食事中に食物繊維を摂っていると、糖の吸収も穏やかになります。
また、後でも述べますが腸内細菌のエサにもなるので、免疫力にも関係しそうです。
植物ベースの低炭水化物食では、野菜を多くとるコトでビタミン、ミネラル、植物繊維をカバーできると思います。
なので、植物ベースの低炭水化物食では死亡リスクが上がっていないのかもしれません。
ご飯やパンは血糖値を上げにくいという医師のコメント
大きなツッコミどころ2つ目。
それが、「ご飯やパンは血糖値を上げにくい」という医師のコメントです。
これは、清涼飲料水に使われるブドウ糖果糖液糖や砂糖が血糖値を上げるよ、という話の後でされていました。
ブドウ糖果糖液糖や砂糖に比べたら、確かにご飯やパンも血糖値を上げにくいと言っても良いかもしれませんが、ちょっと微妙ですよね。
例えば、
炊いた白米も種類によりますが、高い物ではGI値83、GL値でみると30となっています。
白いパンでも高い物はGI値87、GL値11。
※リンク先はオーストラリアシドニー大学の栄養評価ページ
いやいや、血糖値上がりやすいでしょ。
とツッコミ要りますよね。
しかしながら、ブドウ糖果糖液糖や清涼飲料水は良くないよ、という話はされていたので、その点は良かったですね。
あさイチ糖質の新常識スぺシャルの良かった点、見どころ
大きなツッコミどころありましたが、内容としてはよくまとまっていました。
そして、最後の、「腸内細菌の重要性を話していて、食物繊維が大切」という落としどころが特に良かったと思います。
食物繊維と腸内細菌について、もう少し深く解説した動画を作りました。
こちらも合わせてご覧ください。
あなごじにわらひなき、腸内細菌のエサになる食物繊維、おすすめ食材10個
番組内で紹介されていた腸内細菌のエサとなる食物繊維のおすすめの食べ物として、「アナゴジニワラヒナキ」と紹介されていました。
- ア・・・アボガド(水溶性1.7g、不溶性3.6g)
- ナ・・・納豆(水溶性2.3g、不溶性4.4g)
- ゴ・・・ごぼう(水溶性2.3g、不溶性3.4g)
- ジ・・・ジャガイモ(水溶性0.6g、不溶性0.7g)
- ニ・・・人参(水溶性0.7g、不溶性2g)
- ワ・・・わかめ(総量32.7g)
- ラ・・・らっきょう(水溶性19g、不溶性2.4g)
- ヒ・・・ひじき(総量43.3g)
- ナ・・・なめこ(水溶性1g、不溶性2.3g)
- キ・・・キウイ(水溶性0.7g、不溶性1.8g)
※( )内は食物繊維量、可食部分100g中
こういうの良いですよね。
思いっきりテレビとかあるある的ではありますが、キャッチ―で分かりやすいので、僕も好きです。
また、食物繊維は栄養の吸収をマイルドにするので、高血糖を防ぐ効果もあります。
これを伝えることで、「ご飯やパンを食べても多品目で食物繊維と合わせて食べれば、血糖値あがらずにいけますよ」、
という裏の意もあったのかもしれませんね。
腸内細菌叢によって同じ食べ物でも血糖値の上昇に個人差がある
そして、非常に興味深かったのは、イスラエルの研究の紹介。
人によって同じ食べ物でも、血糖値の上がり具合が違うというんです。
そのカギになってるのは、腸内細菌叢。
番組内では、チョコレートを食べても血糖値が上がりにくいイスラエルのおじいちゃんが紹介されていました。
その人の糞便を調べて、腸内細菌叢を特定することで、その人にとって血糖値を上げにくい食べ物が分かるそうです。
検便で分かるので、検査による体へのダメージもないし、こういうの広まれば良いですよね。
食事のメニューと食べ方による血糖値のコントロール
最後に、紹介されていたのが、甘い物中毒だった漫画家さんが、食事方法を変えて、炭水化物を食べても痩せた!という体験談でした。
甘い物中毒だったころはコンデンスミルクを直飲みされていたそうなので、それは確かにヤバいと。
体重も80kg超えられてました。
が、食事を意識して行い、モズク酢、きな粉おからヨーグルトを取りいれたことでダイエットに成功されたそう。
食べる順番も意識されていて、
- モズク酢
- きな粉おからヨーグルト
- おかず
- ご飯
の順番で食べられるそう。
ご飯は、最後に食べる方が血糖値が上がりにくいことはよく言われていますね。
あと、食べ方で言うと、
-
- 食事中に箸を置く
- 間食したいときは、包丁で切ってお皿に盛って姿勢を正して食べる
ことを意識されてるそうです。
これも効果的な良い情報だと思います。
NHKあさイチ、糖質の新常識スペシャル内容まとめ
11月20日に放送されたNHKあさイチの糖質の新常識スペシャル、内容まとめになります。
- 紹介した論文は、低炭水化物食で死亡リスクが1.3倍になると言っていたが、かなり不正確
- 専門家の医師のコメントとして、「ご飯やパンは血糖値を上げにくい」と言ってたところ
また、「糖質制限は、糖尿病治療中の人や予備軍の人、肥満の人には勧められるが、1年未満にしましょう」、
という話もされていました。
そして、放送の中で腸内細菌の重要性も話されていましたね。
- 腸内細菌叢によって同じ食べ物でも血糖値の上がり具合に個人差がある
- 腸内細菌のエサとなる食物繊維が大切
- 食べ方によっても肥満や高血糖は抑えられる
今までの医学の常識とは違う内容ですし、新しい知見を広めてるとこも、良いなぁと思いました。
動画の中でも話していますが、自分の健康は自分で守らないといけません。
11月20日に放送されたNHKあさイチの糖質の新常識スペシャル。
そして、調子が良ければ続ければ良いし、悪くなれば変えていく必要があります。
1つの情報だけを鵜呑みにせずに、他人に任せずやっていく姿勢を持っていきたいですね。
調べて、やってみて、体調がどうなるか確認する。
そして、自分が望む理想の状態をアップデートしながら、やっていきましょう。
ダイエット中の食事や運動、メンタルのお悩みについてlineからも相談にのってます。
こちらからどうぞ。
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